アウトドアウエアの重要な機能として、水を弾く「はっ水性」があげられます。ゴアテックスやドライテックなどの防水透湿膜（外から水を通さず、衣服内の水蒸気を発散する膜）を使ったレインウエアも、はっ水性が落ちてウエアの表面が水分で塞がってしまうと、本来の性能を発揮できません。
 モンベルでは2015年を境に製品に使用するはっ水成分を変更しました。それまではC8と呼ばれるPFASを使用したはっ水成分が主流でしたが、環境や人体へ悪影響を及ぼす可能性があることから、同じPFASでも環境負荷の少ないC6という成分に切り替えています。
 さらに2020年からはPFASを一切使用しない生地への切り替えを進めており、現在までにトレッキングパンツや保温材入りウエア、スリーピングバッグなど全商品の約7割がPFASを使用していない生地になっています。

 ただし、PFASを使用しないはっ水剤は、初期性能こそ従来のはっ水剤と遜色ないレベルまで近づいているものの、耐久性に劣ります。皮脂や油汚れを弾く「はつ油性」が低いため、それを媒介として生地が保水してしまうリスクがあります。これを防ぐためには、こまめに洗濯してウエアに付着した汚れをしっかり落とすことが重要です。さらに乾燥機やアイロンなどで熱を加えることで、はっ水成分が元の安定した状態に戻り、はっ水性を保つことができます。
 PFASを使用している汚れの付きにくいはっ水成分は魅力的ですが、それらを使い続けることでアウトドアを楽しむ環境自体を損なっては本末転倒です。こまめにメンテナンスを行いさえすれば、アウトドアウエアの性能と環境負荷軽減は両立することができます。

豊かな自然環境を次世代へ引き継ぐため、フッ素を使わないはっ水剤にご理解いただければ幸いです。

※C8、C6はPFCに含まれるカーボン（炭素）の数を示しています。